ロジクールのエルゴノミクスマウス MXV1s MX Vertical レビュー。悪魔的としか形容できない一品
ここ2年ほどロジクールのMX Master 2S を愛用しています。かなりハードに使うのでチャタリングやポインターの故障で3代目になりますが、先月にそれも故障し「そろそろ新型も出てるかな」とネットを確認したところ一見して異彩を放つこのマウスを見かけ、以前からエルゴノミクスマウスが気になっていたこともありロジクールの作るエルゴノミクスマウスはどんなものなんだろうと購入してみることにしました。
目次
エルゴノミクス的な使い心地
ホールド感は至高の一言に尽きる
見た目のインパクト通りの革新的な握り心地です。手首側を上から見たラウンドと水平から見た裾野の広がりは卓上で手を脱力した時に近い形でホールドでき、滑りにくい形状、材質と相まってとても手に馴染む形です。使ったら最後、今までのマウスがどれだけ無理な形だったかを痛感してしまいます。後に書く欠点を我慢して泣きながら使うか一度味わった快適さを諦めて従来のマウスを泣きながら使うかというこの世に不幸しか産まない悪魔のようなマウスです。
マウスとしての基本的な機能を見てみよう
ロジクールらしい良くできたマウスです。ポインティング精度はもちろんマウスのカスタマイズや便利なUnifying機能などは他のロジクール高級ラインと変わらないので説明を省きます。
形が独特のためポインティングの軸に少し癖があります。水平垂直を取るのに違和感を感じる人もいるかもしれません。とは言えもともと各社のマウスによって軸には微妙なクセがありますし、色々使ってきた人なら一瞬で慣れます。むしろ癖があるのに気づかない人の方が多そうです。
左右クリックはとても押しやすいです。ボタン側にラウンドが欲しいとのレビューも見かけましたが、ここが比較的直線的なのはおそらく手が大きくても小さくても自然にクリックできるための配慮でしょう。エルゴノミクスとしてだけでなく世界展開の機種としてよく考えられた形だと思います。ホイールも押しやすいのですが、MX Master 2S にはあった高速スクロールがないのは痛い点です。 今回は初エルゴということもあってか「とにかく余計なものはつけない」という設計マーケティング担当の守りの姿勢が随所に見られます。
サイドボタンを見てみよう。これはサイドボタン付きマウスに親を殺されたエンジニアの復讐なのか
サイドボタンの手首からの距離
身長180cmの私の手で丁度なので、多くのアジア系にとっては奥側が遠いかなと思ったのですが、160cmの妻の手だとむしろ手前が近すぎて押しにくいようなので、手の形や持ち方次第なのかなといった感じです。
サイドボタンの高さ
手の大きさに関係なく脱力位置よりかなり高いため、レスト状態の位置から大きく動かす又は若干高い位置で親指をキープする必要があります。誤クリック対策にしても高すぎるので意図は不明ですが設計ミスギリギリのレベルの仕様です。
サイドボタンの大きな欠点
このサイドボタンには上記に挙げた点以外に特に注意してほしい欠点があります。それは物理的に同時押しができない設計になっている点です。2つのボタンが棒状に繋がってシーソーのように傾く仕組みのため、必ず片方のボタンしかオンにできません。もうこれは設計ミスと断言したくなるほどの欠点です。本当に戻る進むボタンにしか使わないようなカジュアルユーザー以外は念頭になかった様です。それをこの価格で出すかあ……。
そもそもボタンが少ない
押しにくい2つのサイドボタンの他には頂点にDPIボタンが鎮座するのみです。一応カスタマイズはできるのですが、DPI変更以外の用途は絶対に禁じるという謎の信念を感じる冗談のように押しにくい位置。最近のロジクール機ではお馴染みのステルスボタンすらない。あれ地味に便利なんですよね。MX Master 2S のは押しまくってるとすぐ壊れるけど。
地獄のまとめ
エルゴノミクスとしての全体のフォームは素晴らしいの一点に付きます。マウスの基本的な性能もロジクール+unifying準拠の堅実で隙のない質の高いプロダクトです。しかしボタンが少ない、配置も押しづらい、高速スクロールも無い、動作も無駄な制限付きと細部の詰めの甘さが傑作になるはずだったマウスを駄作にしてしまいました。普段はあんまりオススメできないガジェットのレビューは上げないんですが、特に同時押し問題に関して言及しているレビューが見かけられなかったので注意喚起も込めて公開することにしました。逆にサイドボタンをあまりカスタマイズして使わない人にとっては傑作の可能性を失わないままの素晴らしいマウスになると思います。難しい事さえやらせなければ本当にいい子なんです (´;ω;`)
その後 MX Master 2S の正当後継版である MX Master 3 を購入しました。エルゴノミクスデザインではありませんが上記に上げた欠点がない非常に隙のない期待通りのマウスです(こちらもレビューしました)。しかしMXV1s MX Vertical が忘れられず、同時押しや高速スクロールがあったほうがいい作業は MX Master 2S 、普段はMXV1s MX Vertical という妙な運用になっています。マジ悪魔。
コメントを残す